家庭でのシミ抜きが失敗してしまう本当の理由とは?
家庭でのシミ抜きが失敗してしまう本当の理由とは?
今の時代、知りたい情報は、ネット検索で手軽に知ることが出来る便利な時代になりました。
そこには、色んな情報が溢れています。
ただ、首をかしげるような情報があるのも事実です。
その道のプロから見れば、それが正しいのか判断できますが、専門的な知識のない人達には、その判断が難しいこともあるのではないでしょうか?
私のお店で感じる事があります。
お気に入りの洋服に対してご自身で行なったシミ抜きの失敗についての相談事例から思うのです。
それは【シミ抜きする】という行為、処理を間違って考えられているのではないか?
ということなのです。
そこで、一般的に【シミ抜き】とはどんなふうに理解されているのか、を知るために広辞苑で調べてみました。
シミ抜きとは、衣類、布地などについた汚れを抜き去ることと記載されていました。
なるほど、
そうだなと思います。
ただ、衣類をお手入れする立場の私から見れば、それでは不十分ではないかと思います。
その不十分さが、ご家庭でされるシミ抜きの失敗に繋がる最大の原因だと考えています。
それでは
【シミ抜き】とは、どんなことをすることでしょうか?
私は、シミ抜きとは衣類、布地などに付いたシミを薬剤等を使ってシミの部分を部分洗いし、綺麗に落とし、その部分を濯ぎ洗いする事だと考えています。
汚れを落とすことは大切ですが、ここで重要なことは【濯ぎ洗い】するという部分です。
汚れが落ちた、落ちなかった場合も薬剤を濯ぎ洗いしなければ、衣類、布地にダメージを与えるからです。
例えば、
手が汚れたら
石鹸(アルカリ性)で綺麗に洗う
汚れが取れたら
水で綺麗に石鹸を洗い流す
こんな流れになると思います。
汚れが取れなくても、汚れが取れても、そのままで良いという人はいないと思います。
必ず、水で綺麗に濯ぎ洗いされると思います。
家庭でシミ抜きをされることは、衣類を大切に扱うということで素晴らしいと思います。
ただ、
汚れを落としたあと、家庭で濯ぎ洗いが出来るかどうかを考えてからしなければならないのです。
一般的にシミや汚れを取る時は洗剤を使われると思います。
洗剤はアルカリ性です。
アルカリが汚れやシミを膨潤させ、溶かして綺麗にするのです。
ちょっと、余談になります。
日本にある多くの温泉の水質はアルカリ性です。
温泉水で髪の毛を洗ったことがあるという人がおられると思います。
髪の毛は、どうなりましたか?
ガサガサになった筈です。
アルカリが髪の毛のキューティクルを溶かして、ガサガサになったのです。
髪の毛は、衣類で言えばウール製品です。
アルカリが残れば、ウール製品を傷めます。
シミ抜きする時は
必ず中性系洗剤、シミ抜き剤を使う必要があるのです。
もう一つ大切なことがあります。
濯ぐことです。
例え中性洗剤でも繊維に残ると繊維を痛めることになります。
必ず、水で濯ぎ洗いする必要があります。
家庭でザブザブ濯ぎ洗い出来ない衣類は、ご自分でシミ抜きしないことお勧めします。
特にウール製品をザブザブ洗うと収縮や型崩れの原因になります。
要注意です。
写真にあるコートは、ネット検索されたお客様の事例です。
ご主人からプレゼントされた大切なコートだそうです。
「大変‼️」何とかしたいと
その気持ち!!
よくわかりますよ!!
そこで、ネット検索されました。
その方法とは、
マグカップに熱いお湯を入れる。
シミの部分をマグカップの上に置く。
出てきた湯気でシミを取るという方法です。
写真では見えにくいですが大きな輪ジミになっています。
原理的には、わかりますが、
実はかなり高度な技術が必要です。
そして今回のケースでは、不適切な方法なのです。
シミや汚の種類によって、除去する方法は様々なのです。
大切な衣類にシミがついた時は、
まずはご相談ください。