着用中の色移り
着用中の色移り
今回紹介させて頂くのは、
お客様様からの相談事例です(お客様からは了解を得ています)。
家で洗濯したら、白いブラウスの両脇に他の洗濯物の青い色が移ったという電話相談です。
落ちるかどうかと尋ねられましたが、やはり実際に見てみなければ判断出来ませんとお伝えしました。
それではということで、来店されました。
ブラウスを診ると、
お客様の言われる通り、写真にあるように両脇が青くなっていました。
このブラウスを着用された状況をお尋ねしたところ、
買ったばかりの青いカーディガンをブラウスの上に羽織って着ていたそうです。
お客様は、洗濯中に他の洗濯物から色移りだと話されていました。
しかし私は、
原因は洗濯物からの色移りではなく、
新しいカーディガンの青い色が着用中の汗で下のブラウスに色が移ったものだと考えました。
一般的に、
濃い色の繊維製品は、色目を鮮明に見せるために過剰に色をのせてあります。
初めての着用での色移り、初めて洗濯での色の溶出は、よく見かける現象です。
他の洗濯物からの色移りなら、全体が青くなるはずです。
お客様は、洗濯する前に色移りしていたことを知らずに洗濯されたから、そのような誤解をされたのだと思います。
高温多湿の夏などにちょくちょく見かけるトラブルです。
お客様のお話によると、
決して高いブラウスではないけれども、お気に入りのブラウスだということです。
もし、
今も販売されていたら再購入したいと。
しかし、残念ですが、もう販売されていないそうです。
着用中の移染、他の洗濯物から移染、繊維製品自体からの色移りの相談はよく受けます。
移染や色移りは、繊維製品の染色堅牢度(染色の丈夫さの度合い)の低さが原因です。
日本工業規格(JIS)によって、繊維製品の染色堅牢度の合格基準は定められています。
繊維製品に一般的に求められる染色堅牢度より低い堅牢度なら、
アパレルメーカーに商品代金の返還などを求めることも可能です。
今回のケースは、技術的に除去可能なので、
まずは、お客様の「困り事」の解決が一番と思いシミ抜き作業を行いました。
写真の通り、
ある薬剤を使って綺麗に落とす事が出来ました。
このような良い結果になった最大のポイントは、
いつもながら、お客様がご自分で何もされずにブラウスを持って来られたことです。
最近の傾向として、ネット検索をしてご自分で移染除去処理をして、
それでも取れなくて持ち込まれるケースが多くなっています。
ネットで記載された内容は基本的に正しいのですが、
見られた人の繊維知識の無さから、製品自体をダメして取り返しのつかないようになるケースもあります。
時には、
ネットで記載された内容が、私達プロからみれば
ちょとオカシイのでは!?
と首をかしげるようなものも見かけます。
ネット検索の結果を全て正しいと考えるのは、考えものかもしれませんね!