京都市 東山区でシミ抜き実績60年 洗濯で落ちないシミ抜きや汚れ落としはクリーニング寿へ

長く丁寧に着てこられたジャケットの寿命

長く丁寧に着てこられたジャケットの寿命

先月、京都府内のクリーニング店の方が、
突然いらっしゃいました。

「亀田さん、ちょっと見てもらいたいものがあるんだけど」と。

他のクリーニング店の方から衣類のことで相談されることは、
よくあります。

どうしたのかと思って、話を聞くと、

「クリーニングに出したら、ジャケットがシワになったと、
お客さんが怒っていて、
プレスをかけてシワを伸ばしても、すぐに元に戻ってしまうんです。
もともとこんなシワの服じゃなかったって言うんですけど、
どうしたらいいのでしょう?」
とのことでした。

私はジャケットを受け取ると、すぐに、息を吹きかけてみて、
空気の通りをチェックしました。

やはり、私が想像していたとおりでした。
すぐにわかりました。
これは、衣類の寿命だ、と。

この冬物のジャケットは、
冬の冷たい風を通さないように
ボンディング加工された洋服でした。
つまり、冬に暖かく着られるという特長のある洋服なのです。

では、なぜ風を通さないかといえば、
表面生地の裏側に、
接着剤で伸縮性のあるフィルムを貼り合わせているからです。
息を吹きかけて、このことを確認したのです。

接着したものは、いつか剥がれます。
剥がれて、少し残った接着剤が別の所にくっついて
しわくちゃになってしまっているです。

クリーニング店の技術などに原因があるわけではなく、
もう長く着ていて、自然と傷んだものなのです。

こうなってしまうと、いくらシワを伸ばしても、
元には戻りません。

「残念だけど、これは元には戻りませんよ」
とお伝えしました。

現在、しっかりと品質管理されているメーカーなら、
ボンディング加工されていると
取扱絵表示で表示されている場合もあります。

そこで、取扱絵表示を見て、また 驚きました。

取扱絵表示には、通産省承認番号で、
販売者で表示されていたのです。
全ての衣料品には、消費者保護を目的に
繊維製品品質表示法と言う法律で、
生産者、販売者に取扱絵表示を
付けるように義務づけています。

そこで、出来たのが、承認番号制度でした。
これで調べるには、
大型の辞書のような本で調べなくてはならず、
消費者保護にならないと批判があり、
平成9年に改正され
「表示者の氏名又は名称」及び「住所又は電話番号」
を表記するように改正されました。

このことから判断するに、
平成10年以前に製造販売された洋服だと考えられます。

加工された品物には、加工の寿命があります。
ボンディング加工は、
高温多湿の状態で保管すれば、
接着剤の加水分解が進み、
生地が生産されてから3年位でこのような事が起ります。

今回のケースでは、
お客様は大変大切に取扱されております。

相談に来たクリーニング店の方に聞くと、
お客さんはブティックの店の方で、
丁寧に着ているとのことでした。

普通、10年以上もここまで丁寧に着ることはできません。

これは、お客さんも丁寧に着てこられたことでしょうし、
クリーニング店でも丁寧にメンテナンスしてきたからでしょう。

私は、クリーニング店の方に、
''「ここまで長く大切に着てこられたら、もう十分でしょう。
残念ながら衣類にも寿命があるので、どうしようもありません。
長く着られたお客さまならわかるのではないですか。
と伝えられてはどうでしょうか」''
とアドバイスしました。

商品の寿命です。
十分に寿命をまっとうしたのではないかと思う衣類に出会いました。

後日、相談にいらっしゃったクリーニング店の方から、
連絡がありました。

お客様は、理解され納得されたとのことでした。


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